2025.04.09
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2025.04.09
欧・要人発言(日本時間16時35分~)
米・週間原油在庫(日本時間23時30分)
米・FOMC議事録公表(日本時間27時00分)
東京時間では、米国の関税発動を受けてリスク警戒の動きが拡大した。トランプ政権は、日本時間13時過ぎに第2段階目となる相互関税を発動。日本は24%、中国は当初予定されていた34%から84%に引き上げられ、すでに発動済みの関税と合わせて計104%の税率となる。関税発動への警戒が強まり、東京時間では米国の株式・債券・通貨が揃って下落。債券価格の下落から米10年利回りが一時4.50%台まで急伸し、時間外の米株先物は下げ幅を拡大した。為替市場では、関税発動後に米ドル売り・円買いの動きが加速。米ドル/円(USDJPY)は先週つけた年初来安値の144.500円台まで急落し、一旦は下げ止まり。主要国通貨は対ドルで強含み、ユーロ/米ドル(EURUSD)は1.1068ドル台まで上値を伸ばした。金(GOLD)は反発し、朝方の安値2,960ドル台から3,030ドル台まで上昇。ビットコイン(BTCUSD)やイーサリアム(ETHUSD)などの仮想通貨銘柄もやや持ち直す動きとなった。株式市場では、日経株価(JP225)は前日比-3.93%と反落。米中の貿易戦争激化や円高進行が警戒感を高め、寄り付きから大幅下落でスタート。後場では関税発動後に一時1,700円超の急落となったが、終盤にかけて下げ幅をやや縮小した。本日の海外市場では、米国の関税発動を受けて再びリスク警戒が高まっている状況に注意したい。本邦では、本日16時00分より財務省・金融庁・日銀の3者会合が開かれ、金融市場の不安定化について政府と日銀が連携する見通し。また、欧州では本日の欧州議会で米国への報復関税についての承認を求める予定となっており、承認された場合は一部の品目に対して15日から追加関税が適用される見込み。中国も報復措置をとる姿勢を示しているため、貿易摩擦の激化が予想されるニュースが飛び込んできた場合は、金融市場全体でリスク回避の動きが強まる可能性があることを警戒しておきたい。
本日は欧州中央銀行(ECB)関係者の発言が予定されている。17日の理事会を前にECB関係者は明日からブラックアウト入りとなるため、政策金利発表前の最新の見通しを探りたい。日本時間16時35分にクノット・オランダ中銀総裁、日本時間18時00分にビルロワドガロー仏中銀総裁、日本時間21時30分にチポローネ専務理事が発言予定。米国の関税発動が足枷となり、各国の金融政策スタンスの見通しは大きく変化する可能性がある。シムカス・リトアニア中銀総裁は昨日8日のインタビューで「4月は利下げに踏み切るべき。関税についてより明確な情報を確認したうえで6月にも追加利下げを行うか決めればよい」と述べた。市場でも4月の利下げが適切との見方が強まっており、4月と6月の理事会での連続利下げがほぼ織り込まれている。ユーロ圏の景気悪化懸念が高まっている状況であるため、ECB関係者から利下げを示唆するような発言があればユーロ売りが加速する可能性があることに注意したい。
日本時間23時30分に、米国の原油在庫が発表される。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が毎週水曜日に発表する原油在庫は、米国企業が保有する商業用原油量を測定した指標。原油在庫量の増加は需要の低迷、減少は需要の拡大を示し、需給の変化が景気動向に影響を与える場合がある。米国の関税発動による貿易摩擦の激化がエネルギー需要を下押しするとの懸念から、WTI原油(OIL)は連日大幅下落。本日9日のアジア時間でさらに下げ幅を拡大し、1バレル=56ドル台まで落ち込み、2021年2月以来となる4年超ぶりの安値をつけた。関税による影響は原油相場や金相場などのコモディティ市場にも広く及んでおり、米国をはじめ関税発動を見過ごせない中国やEUが揃って強硬姿勢を維持している状況が重しとなっている。需要低迷の懸念が高まっている状況で在庫量の増加が確認された場合、WTI原油(OIL)が一段安となる可能性があることに警戒したい。
日本時間27時00分に、3月18日~19日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。3月の会合では、市場予想通り政策金利を現行の4.25-4.50%に据え置くことを発表。パウエルFRB議長はトランプ政権の関税政策による経済不確実性が高まっていることを述べ、インフレ率が上昇しつつある要因の1つであるとの見解を示した。世界的な貿易摩擦の影響から、FRBは物価と景気の双方を慎重に見極めなければならない局面に立っている。クーグラー理事は今月7日の講演で「関税の影響はインフレの方がより差し迫っているとみている」と述べ、現時点では景気後退よりも物価に重きを置く考えを示した。しかし、市場では関税による米国の景気後退懸念が拡大しており、5月会合での利下げを織り込む動きが加速。FRBと市場の動きに乖離が生じている可能性があるが、関税について不透明な状況が続く限りは見通しが二転三転することが考えられる。3月のFOMC会合は相互関税の影響を受けていない時期の議論となるため、現在は状況が大きく変化しているが、議事録から詳細な見通しについて確認しておきたい。
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