2025.04.10
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2025.04.10
米・消費者物価指数(日本時間21時30分)
米・要人発言(日本時間22時30分~)
米・30年債入札(日本時間26時00分)
東京時間では、前日に急速に加速した円売りの動きに調整が入り、米ドル売り・円買い優勢となった。昨日のNY時間に、トランプ米大統領が報復措置をとらない国や地域を対象に相互関税を90日間停止するという猶予措置を発表。これまで関税の緩和を認めないという強硬姿勢を維持した状態から一転して猶予措置を講じたことで、市場のリスク警戒の動きが急速に後退した。米ドル/円(USDJPY)はNY終値時点で148円付近まで上昇したが、朝方から徐々に下落し、東京勢参入後は仲値にかけて下げ幅を拡大。じりじりと下値を切り下げ、146.40円台まで下押した。米ドル売りが加速したことで、主要国通貨は対ドルで強含み。オセアニア通貨は堅調に推移し、豪ドルとNZDは対ドルと対円で買いが先行した。金(GOLD)は前日からの上昇の流れを引き継ぎ高値を更新。1週間ぶりに3,130ドル台を回復し、大きく押し目を形成することなく堅調に推移した。相互関税の猶予措置を受けて、アジア株は急伸。本日の13時過ぎに中国は米国に対して84%、米国は中国に対して125%の関税を発動し、米中の対立が激化しているが、中国政府が協議する景気支援策や株価安定策への期待から株価は上昇した。国内株式市場では、日経株価(JP225)は前日比9.13%と再び大幅反発。前日に米株主要3指数が揃って急伸したことを受けて、寄り付きから大幅上昇。半導体関連株や金融株への買いが相場を押し上げ、リスク後退による買戻しの動きが殺到した。本日は米国の消費者物価指数(CPI)の結果を確認し、引き続き関税報道を注視する展開となりそうだ。猶予措置が発表され過度な警戒感が後退しつつあるが、90日後に再び関税が発動するのか不透明な状況にある。また、鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税などの高税率関税は継続しているため、トランプ政権の動向次第で再びリスク警戒が高まる可能性があることを想定しておきたい。
日本時間21時30分に、米国の3月消費者物価指数(CPI)が発表される。CPIは、米国の消費者が購入する商品やサービスの価格変動を月毎に測定し、指数化した指標。米国内のインフレ率を測る指標として米連邦準備制度理事会(FRB)が注視する重要指標の1つである。市場予想は、前月比が0.1%、前年比が2.6%と、ともに前月の結果を下回る見込み。変動が激しい食品やエネルギーを除いたコア指数は、前月比が0.3%、前年比が3.0%。前月比はわずかな上昇が見込まれるが、前年比は前回値を下回ると予想される。市場では、関税発動による物価上昇期待が高まっており、次回5月7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてインフレ率の動向が注目される。FRB関係者はインフレ上昇リスクが長期的なものになるか見極める必要があり、早期の利下げ再開には慎重な姿勢を示している。今回のCPIはおおよそ前月から低下する見込みであるが、予想を上振れた場合は市場の利下げ期待が後退し米ドル売りが加速する可能性があることに注意したい。
本日は米連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言が予定されている。日本時間22時30分にローガン・ダラス連銀総裁、日本時間23時00分にボウマンFRB理事とシュミッド・カンザスシティ連銀総裁、日本時間25時00分にグールズビー・シカゴ連銀総裁とハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が発言予定。最近伝わったFRB関係者の発言では、持続的なインフレ上昇の抑制が最優先との見解が示されている。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は「関税がインフレを加速させるため、利下げの可能性は低い」との見解を示し、ムサレム・セントルイス連銀総裁は「関税による物価上昇をFRBが無視できると想定することは危険」と発言。物価上昇の懸念から、利下げに対するハードルが高まっているとの認識が示された。市場では2段階目の相互関税発動後に5月会合での利下げを急速に織り込む動きが広がったが、昨日のNY時間にトランプ大統領が猶予措置を発表したことで一転して利下げ期待が後退。FRBのスタンスは明確になりつつあるが、市場は不確実性が高く混乱状態にあるため、米中の対立や要人発言で見通しが変化しやすい状況であることに警戒したい。
日本時間26時00分に、米財務省による米30年国債入札(220億ドル)が予定されている。市場注目度の高い長期国債入札前には、債券市場での需給に変化が見られる可能性があるため注意したい。昨日実施された米10年国債入札(390億ドル)は、米国の関税発動の影響で債券価格が大幅に下落していたことや、屈指の米国債保有国である中国が入札に参加しなかったことなどから緊張が高まった。結果は応札倍率の上振れで堅調さが示されたが、依然として米国債の売りが拡大している。関税ショックの影響で一時は米債券に買いが集中したが、今週に入り本来最も安全な資産であるはずの債券にまで売りが波及しているため、市場混乱時の定説から逸脱している状況にある。一部では、対抗措置として中国が米国債を売却している可能性が報じられており、債券市場での警戒感は続いている。本日の米30年国債入札が低調な結果となった場合、売りが加速し米長期金利が上昇、さらに金利に連れて米ドル買いの動きが加速する可能性があることに注意したい。
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