2025.06.10
2025.06.10
欧・要人発言(日本時間16時10分~)
米中貿易協議(日本時間18時00分)
米・3年国債入札(日本時間26時00分)
東京時間では、序盤に米ドル買い・円売りが加速した。朝方に売り優勢で下落した米ドル/円(USDJPY)は、ゴトー日の仲値に絡んだ米ドル買い・円売りのフローでじりじりと上昇。仲値通過後に一旦弱含んだものの、すぐに反発し一時145.20円台まで急伸した。円売りが強まった影響でクロス円も揃って上昇。参院財政金融委員会に出席した植田日銀総裁が「基調的な物価上昇率は目標の2%に少し距離がある」と発言したことも材料視され、一時円全面安の展開となった。しかし、午後には一転して米ドル売り・円買いが加速。時間外の米10年債利回りの低下や日経株価(JP225)の上げ幅縮小が重しとなり、米ドル/円(USDJPY)は本日安値の144.40円付近まで下げ幅を広げた。米ドル買いの動きから、主要国通貨は対米ドルで下落。本日15時に発表された英国の雇用統計が弱い結果となったことが英ポンド売りを加速させ、英ポンド/米ドル(GBPUSD)は1.3520ドル付近まで下押した。アジア株はまちまち。米中貿易協議への期待感から買い優勢の動きが続いているが、中国側が強硬姿勢を崩さないことで楽観的な見方にもなりにくい状況。休場明けの豪ASX200(AUS200)は堅調に推移し、香港ハンセン指数(HK50)はやや売り優勢で下落した。国内株式市場では、日経株価(JP225)は前日比+0.32%と続伸。米国が半導体の輸出規制を緩める可能性があることに期待感が高まり、半導体関連銘柄の買いが先行。しかし、米中の通商交渉を見守る様子見姿勢が強く、上値の重さから小幅高にとどまった。本日は注目度が高い経済指標の発表が予定されていないため、米中貿易協議の進展を見据える展開が予想される。協議に関する情報が伝わるまでは様子見ムードが強まる可能性が高いことを想定しておきたい。
本日は欧州中央銀行(ECB)関係者の発言が予定されている。日本時間16時10分にビルロワドガロー仏中銀総裁が会議に出席予定、日本時間17時00分にホルツマン・オーストリア中銀総裁とレーン・フィンランド中銀総裁がそれぞれ講演を行う。次回7月に開かれる会合に向けて、ECB関係者の発言から利下げ見通しについて探りたい。先週開かれた会合でECBは7会合連続の利下げを発表。ラガルド総裁の記者会見では次回会合での利下げ停止を示唆する発言がみられ、ブラックアウト期間明けのECBメンバーからも同様の見解が示された。本日講演が予定されるタカ派メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は、5月会合で唯1人据え置きを支持したことを明かしており、昨日の講演では「利下げ停止はしばらく続く可能性がある」と述べた。本日も同様に据え置きを示唆する発言がみられるか注目したい。
9日からロンドンで始まった米中の閣僚級協議は、本日10日の日本時間18時00分に再開される。スイスのジュネーブで行われた最初の協議に続き第2回目となる今回の協議では、中国のレアアース(希土類)輸出規制が主な焦点。米国側が輸出規制を緩和するよう求める一方で、中国側は高率関税や半導体などの輸出規制の撤廃を求めるとみられる。米国側はレアアースの輸出規制緩和が実現すればエヌビディア製品を除く一部の半導体に関する輸出規制を解除する考えを示唆しており、歩み寄りの姿勢を示した。米国の交渉団には第1回目の協議には参加していなかったラトニック商務長官が含まれており、中国からは経済政策を統括する何立峰副首相や商務省の李成鋼次官が参加。両国から輸出規制を監督する統括者が出席していることで、話し合いの進展が期待されている。トランプ米大統領は初日の協議について「良い報告を受けた」と述べる一方で、輸出規制の解除については「様子をみよう」との発言にとどめた。本日の協議で何らかの進展がみられた場合、米ドルが大きく反応を示す可能性があることに注意したい。
日本時間26時00分に、米財務省による3年国債入札(580億ドル)が実施される。今週は11日に10年国債入札(390億ドル)、12日に30年国債入札(220億ドル)、総額1,190億ドルの中長期国債入札が予定されており、米債券に対する投資家需要を確認する目的で通常よりも注目が集まっている。先月には米格付け会社のムーディーズ・レーティングスが米国債の信用格付けを最上位から1段階引き下げたことを受けて、米国債が一時急落。米ドルと米株も売りが加速し、4月以来となるトリプル安の懸念が高まった。現状は米資産離れの動きも落ち着き大きな波乱は予想されていないが、市場注目度が高い長期国債入札を前に3年国債入札の結果が注目される。好調な結果となれば債券価格上昇・長期金利低下の動きで米ドル安、反対に低調な結果となれば債券価格下落・長期金利上昇の動きで米ドル高となる可能性があることに注目したい。
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