2025.04.16
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2025.04.16
米・小売売上高(日本時間21時30分)
加・BOC政策金利(日本時間22時45分)
米・要人発言(日本時間25時00分~)
東京時間では、米ドル売りが加速した。トランプ政権の輸出制限の対象範囲拡大により、米半導体大手エヌビディアのAI向け半導体「H20」が対中輸出規制の対象となったことが明らかとなり、エヌビディア(NVIDIA)が時間外取引で6%超の急落。米株先物や日経株価(JP225)が軟調な動きを示したことが重しとなり、為替市場でもリスク回避の動きが広がった。米ドル/円(USDJPY)は143円を挟んで小幅に推移していたものの、東京勢参入後に売りが加速。先週末から続くレンジの下限付近となる142.11円台まで下げ幅を拡大しており、下値を試す動きとなるか注目される。欧州通貨は対ドルで買いが先行し、ユーロ/米ドル(EURUSD)と英ポンド/米ドル(GBPUSD)は上昇。円買いの動きからクロス円の多くは下落したが、スイスフランとユーロが強含み、スイスフラン/円(CHFJPY)とユーロ/円(EURJPY)は上値を伸ばした。対中貿易摩擦の激化やエヌビディア(NVIDIA)の急落により、香港ハンセン指数(HK50)は下落。一部では、トランプ大統領が貿易相手国に対して関税交渉を利用して中国との取引を制限するよう圧力をかける計画であると報じられた。両国が強硬姿勢を崩さず、世界経済を巻き込む規模で対立が深刻化しつつある。国内株式市場では、日経株価(JP225)は前日比-1.01%と3日ぶりに反落。米株安の影響から小幅安で始まり、時間外でエヌビディア(NVIDIA)が急落したことを嫌気し半導体関連銘柄が軒並み売られる展開。引けにかけてさらに下げ幅を広げ、マイナス圏で着地した。本日は米国の小売売上高やパウエルFRB議長の講演、カナダの政策金利発表など複数の注目イベントが予定されている。関税に関する突発的な発言にも警戒しつつ、市場の動向を見極めたい。
日本時間21時30分に、米国の3月小売売上高が発表される。小売売上高は、米国内の小売業の売上高を集計した指標。個人消費の動向を示す指標であるため、個人消費支出や消費者信頼感との関連性が高く、米国の景気動向を確認するうえで注目度が高い。市場予想は、前月比が1.3%。前回値の0.2%を上回る見込み。変動が大きい自動車を除いたコア指数は、前回値と同水準となる前月比0.3%が見込まれている。4月の自動車関税発動を前に、3月は自動車の駆け込み需要が増加したとみられていることから前月比での増加が予想されており、自動車を除いたコア指数はほぼ変動がないとみられる。米国の消費者マインドは右肩下がりで悪化しているため、個人消費が上向いた状況とは考えにくい。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は今後数か月でインフレ率が5%に達する恐れがあるとの見解を示しており、物価上昇リスクから消費者が支出を控え慎重姿勢を維持する可能性が高まっている。結果が予想値から上振れた場合は一時的に米ドル買いで反応する可能性があるが、大枠では米ドル売り優勢の地合いであるため、下振れリスクには特に警戒しておきたい。
日本時間22時45分に、カナダ中央銀行(BOC)の政策金利発表が予定されている。今回の会合では、政策金利を現行の2.75%に据え置くことが予想されているが、昨日発表された3月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る大幅鈍化となったことを受けて、市場の利下げ観測がやや強まっている。一時的な減税措置の終了で大幅に上昇した2月のCPIから予想外の下振れとなり、利下げ期待の高まりから指標発表後はカナダドル売りが加速。据え置き予想は変わらないものの、サプライズも否定できない状況にあると考えられる。ただ、BOCが注視するコアインフレ指数は伸びを示しており、インフレ率上昇の兆候がみられているため、持続的な物価上昇圧力の抑制に舵を切ることになるか。米国との貿易摩擦の影響でカナダでは物価上昇と成長率鈍化への懸念が高まっているため、声明文やマックレムBOC総裁の会見から今後の政策スタンスの方向性を確認したい。
本日は複数の米連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言が予定されている。日本時間25時00分にハマック・クリーブランド連銀総裁、日本時間26時30分にパウエルFRB議長が発言予定。NY時間午後となる日本時間翌8時00分にはシュミッド・カンザスシティ連銀総裁とローガン・ダラス連銀総裁の発言が予定されている。市場はパウエルFRB議長の講演に特に注目しており、やや様子見の姿勢が広がっている。パウエルFRB議長は今月4日の講演で「関税引き上げは想定よりも大幅である」と発言し、失業率とインフレ率の上昇リスクが高まっていると指摘した。また、関税による物価上昇は一時的であるとのこれまでの見解から「持続的になる可能性がある」との認識に変化し、FRB関係者らも揃ってインフレ抑制を最優先にするとの見解を示している。次回5月会合では据え置き予想が優勢となっているが、本日の講演でもインフレ上昇リスクへの警戒感が示され、利下げ期待後退に繋がる要因となるか確認したい。
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