2025.06.12
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2025.06.12
米・新規失業保険申請件数(日本時間21時30分)
米・生産者物価指数(日本時間21時30分)
米・30年国債入札(日本時間26時00分)
東京時間では、トランプ米大統領が各国・地域に対して一方的に関税率を設定すると発言したことを受けて、リスク回避の動きが拡大した。本日朝方にトランプ米大統領が「1週間半から2週間以内に各国・地域に書簡を送る」と発言。上乗せ関税の一時停止期間が7月9日までとなっており、期限が切れる前に関税率を提示するとみられる。また、11日に議会証言に出席したベッセント財務長官は、上乗せ関税の発動延長については「誠意のある交渉を進める貿易相手国には延長する可能性が高い」と発言。米中貿易協議が終了したタイミングで再び関税による圧力を強めており、為替市場では米ドル売り・円買いの動きが加速した。米ドル/円(USDJPY)は昨日発表された消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで144円台前半まで下押していたが、トランプ米大統領の発言が伝わると下値をさらに広げて143.60円台まで下落。円とともに買いが先行したスイスフランを除き、主要国通貨は対円で売り優勢となった。また、15時に発表された英国の月次GDP・鉱工業生産・貿易収支などの経済指標が軒並み予想を下回ったことを受け、英ポンドが急落。英ポンド/円(GBPJPY)は指標発表後に194円を割り込む水準まで大幅に下落し、買い優勢で上昇していた英ポンド/米ドル(GBPUSD)も下げへと転じる動きになった。株式市場では、日経株価(JP225)は前日比-0.65%と5日ぶりに反落。為替が大幅に米ドル安・円高に振れていることが重しとなり、寄り付きから利益確定売りが優勢。朝方のトランプ米大統領の関税に関する発言もネガティブな材料となり、積極的な買戻しの動きは見られなかった。本日は米国の生産者物価指数(PPI)と30年国債利回りに注目が集まっている。米関税への警戒感も再び高まっているため、米ドルが神経質な動きを示す可能性があることに注意したい。
日本時間21時30分に、米国の新規失業保険申請件数が発表される。米労働省雇用統計局が毎週木曜日に発表する新規失業保険申請件数は、米国内で失業者が失業保険を初めて申請した件数を集計した指標。週次の結果は速報性が高いため、米国の労働市場の動向を示す先行指標として注目度が高い。市場予想は、24.2万件が見込まれている。前回発表された5月31日までの1週間の集計結果は24.7万件と、昨年10月以来の高水準に達した。前々週から2週連続で大幅に増加しており、関税による労働市場の減速が示唆される結果となった。先週発表された5月の雇用統計では、失業率が横ばいとなり底堅さを維持していたが、このまま新規失業保険申請件数の増加が続けば6月の雇用統計が悪化する可能性が考えられる。今回は3週ぶりに前回値を下回る見込みだが、予想以上の増加となれば米ドル売りの材料と判断される可能性があることに警戒しておきたい。
日本時間21時30分に、米国の5月生産者物価指数(PPI)が発表される。PPIは、米国内の製造業者が販売した商品やサービスなどの価格変動を測定し、指数化した指標。米労働省労働統計局(BLS)が毎月15日前後に発表しており、同じくBLSが発表する消費者物価指数(CPI)と並んで米国のインフレ動向を測る指標として注目度が高い。市場予想は、前月比が0.2%、前年比が2.6%。変動が激しい食品やエネルギーを除いたコア指数は、前月比が0.3%、前年比が3.1%。コア指数の前年比は前月から横ばいが見込まれているが、その他の指数は軒並み前月から伸びが見込まれている。昨日発表された5月の消費者物価指数(CPI)が予想に反して弱い結果となったことで、本日発表されるPPIも下振れに対する警戒感が高まっている。今回は前月から伸びが見込まれているため、予想を下回って減速が見られれば米ドル安を加速させる可能性があることに注意したい。
日本時間26時00分に、米財務省による30年国債入札(220億ドル)が実施される。今週は10日に3年国債入札、11日に10年国債入札が実施されており、本日の30年国債入札は特に市場からの注目が集まっている。米国では、トランプ米大統領が打ち出した大規模な減税政策などを背景に財政赤字が一層深刻化するとの懸念があり、財政への危機感が高まっている。先月には米格付け会社ムーディーズが米国債の信用格付けを最上位から引き下げたことで、米国資産に対する危うさが示された。関税による通商問題も相まって、30年国債利回りは先月22日に5.15%まで上昇し、2023年10月以来の高水準を記録。10年国債利回りも含めた長期金利上昇が米国への信認低下を示唆している。今回の30年国債入札が低調な結果となれば、利回りの上昇に連動して米ドル買いの動きが生じる可能性があることに注意したい。
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