
2025.12.01
NEW
2025.12.01
欧米・製造業PMI【改定値】(日本時間17時50分~)
米・ISM製造業景況指数(日本時間24時00分)
英・要人発言(日本時間24時30分)
東京時間では、植田日銀総裁が利上げの可能性についてやや踏み込んだ内容を発言したことから、円全面高の動きとなった。本日午前に金融経済懇談会での挨拶に出席した植田日銀総裁は、次回12月18-19日に開かれる金融政策決定会合で「利上げの是非を適切に判断したい」と発言。植田日銀総裁が利上げの可能性について言及したのは前回1月の利上げ決定前の発言以来となるため、市場では今回の発言をタカ派的と捉え、主要国通貨に対して円全面高の動きとなった。週明けの米ドル/円(USDJPY)は、朝方から植田日銀総裁の発言への期待感から下押し圧力が強まり下落。早朝のオセアニア時間では156円付近を維持していたが、本邦勢参入とともに売りが強まり、午後には一時155.40円まで下げ幅を拡大した。クロス円も揃って下落。仲値前には小幅に買われる動きがみられたものの、その後の植田日銀総裁の発言を受けて下押し圧力を強めた。金(GOLD)は方向感に欠ける動きながらも買い優勢で上昇。米ドル/円(USDJPY)の下げと同時に買いが強まり、10月21日ぶりとなる4,256ドル台まで高値を切り上げたが、その後は売りに転じて前週末終値付近の4,215ドルまで売りに押された。週末に9万ドル付近で横ばい推移したビットコイン(BTCUSD)は、東京時間に入ると急落。時間外の米株先物も下落していることからリスクオフの動きが生じた可能性があり、1週間ぶりに8万5,000ドル台まで大きく値を下げた。株式市場では、日経株価(JP225)は前週末比-1.89%と大幅反落。前週末の米株高を背景に買い先行で寄り付いたものの、すぐに売り圧力が強まり反落。植田日銀総裁の発言で早期利上げ期待が高まったことが重しとなり、5万円を割り込む水準で取引を終えた。本日は日本時間24時00分に予定される米国のISM製造業景況指数の発表に注目したい。米国の利下げ観測と日本の利上げ観測による日米金利差縮小を期待した米ドル売り・円買いが意識されているため、ISM製造業景況指数の結果が予想外に弱い結果となった場合、米ドル/円(USDJPY)にもう一段の下押し圧力が加わる可能性があることを警戒しておきたい。
本日は欧米各国の11月製造業PMIの確報値が発表される。欧州時間には、日本時間17時50分にフランス、日本時間17時55分にドイツ、日本時間18時00分にユーロ圏、日本時間18時30分に英国が発表予定。NY時間以降は、日本時間23時45分に米国の発表が予定されている。先月21日に発表された速報値の結果から改定があるか確認したい。米国の11月製造業PMIの速報値は、市場予想の52.1を下回る51.9となったが、4ヵ月連続で景気の拡大・縮小の分岐点となる50を上回る水準を維持した。主要構成項目では雇用と生産が前月から上昇したものの、新規受注と在庫が低下。インフレ圧力の強まりによって、仕入れ等のコスト増加分を徐々に価格に転嫁していることも明らかになった。今回は改定値の発表となるため、速報値から上方・下方修正がない限りは反応は限定的となる可能性が高いが、万が一や上振れや下振れがみられた場合は関連通貨に動きが生じる可能性があることを留意しておきたい。
日本時間24時00分に、米国の11月ISM製造業景況指数が発表される。ISM製造業景況指数は、米国の製造業購買担当者を対象に景況感のアンケート調査を実施し、指数化した指標。全米供給管理協会(ISM)が毎月第1営業日に発表しており、新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5項目について調査を実施する。景況感の分かれ目となる50を指数が上回ると景気拡大、50を指数が下回ると景気後退と判断される。市場予想は49.0。前月の48.7を上回り、2ヶ月ぶりに改善する見込み。ISM製造業景況指数は今年3月から8ヶ月連続で50を下回る景気縮小圏で推移しており、関税の影響が製造業の生産活動に根強く影響を与えている。特に雇用指数の落ち込みや仕入れ価格の上昇などが顕著に表れており、関税による労働市場の悪化や物価上昇圧力の強まりが示された。前回10月は市場予想に反して弱い結果が示されたことで米ドル売りが強まる場面がみられたため、今回も想定以上に弱い結果となった場合は米ドル/円(USDJPY)が下げ幅を拡大する可能性があることに注意したい。
日本時間24時30分に、イングランド銀行(BOE)英中銀金融政策委員会(MPC)のディングラ委員の発言が予定されている。MPCメンバーの中で最もハト派的なスタンスをとるディングラ委員から利下げに積極的な発言が聞かれるか注目したい。ディングラ委員はBOEが政策金利の据え置きを決定した9月と11月の会合でも利下げを支持して反対票を投じており、先月18日には「政策金利をかなり早期に引き下げるべき」と述べ、経済の弱さを支えるために利下げが必要であると強調。現状の金利水準がかなり引き締め的であるとの見方を示し、インフレリスクへの懸念から据え置きを支持するタカ派メンバーとは異なる見解を述べている。12月会合での利下げ再開の公算が高まっている状況にあるため、ディングラ委員が改めて利下げの必要性を強調した場合、市場は英ポンド売りで反応する可能性があることに注目したい。
最近のレポート 記事一覧
2025.12.01
NEW
日米金利差縮小を期待した米ドル安・円高を注視
日米金利差縮小を期待した米ドル安・円高を注視
2025.11.28
NEW
流動性低下中の月末フローに警戒
流動性低下中の月末フローに警戒
2025.11.27
NEW
米国休場で手掛かり難の可能性
米国休場で手掛かり難の可能性
2025.11.26
NEW
英・秋季予算案と英ポンドの動向に警戒
英・秋季予算案と英ポンドの動向に警戒
2025.11.25
NEW
米・小売売上高とPPIに注目
米・小売売上高とPPIに注目
2025.11.24
NEW
ラガルドECB総裁の発言内容に注目か
ラガルドECB総裁の発言内容に注目か
2025.11.21
欧米各国のPMIに注目
欧米各国のPMIに注目
2025.11.20
米・雇用統計と円買い介入の可能性に警戒
米・雇用統計と円買い介入の可能性に警戒
2025.11.19
米・FOMC議事録とエヌビディア決算発表に注目
米・FOMC議事録とエヌビディア決算発表に注目
2025.11.18
リスク警戒の株安・円高が継続か
リスク警戒の株安・円高が継続か