2025.08.26
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2025.08.26
米・耐久財受注(日本時間21時30分)
米・消費者信頼感指数(日本時間23時00分)
加・マックレムBOC総裁の発言(日本時間27時30分)
東京時間では、トランプ米大統領の発言を受けて、一時米ドル・米株・米債券が売られるトリプル安の動きが加速した。トランプ米大統領は、本日朝方に自身のSNSで米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事を解任すると発表。かねてよりクック理事の住宅ローンをめぐる不正疑惑を理由に辞任を求めていたが、実際に解任手続きを進める意向であることを明らかにした。尚、クック理事はトランプ米大統領に自身を解任する権限はないと述べ、辞任を改めて否定している。クック理事を解任させることでFRBに対する圧力を強める思惑があるとみられ、市場ではFRBの独立性が脅かされることへの懸念や米国の信認低下を危惧した米ドル売り・円買いが急速に進行した。朝方の米ドル/円(USDJPY)は前日終値付近の147.80円台で小幅に推移していたが、トランプ米大統領の発言が伝わった9時過ぎに一転して急落。一時147円を割り込む水準まで下げ幅を拡大したが、下げ一服後は徐々に買戻しの動きが強まった。ドルストレートも対米ドルで買いが加速。特に欧州関連通貨が対米ドルで強含み、ユーロ/米ドル(EURUSD)と英ポンド/米ドル(GBPUSD)は大幅上昇、米ドル/スイスフラン(USDCHF)は大幅下落となった。株式市場では、日経株価(JP225)は前日比-0.97%と反落。前日の米株安を背景に寄り付きから売りが先行し、さらにトランプ米大統領によるクック理事の解任報道で為替が大幅に円高に振れると、幅広い銘柄が下げ幅を拡大。時間外の米株先物の急落も重しとなり、前場では一時600円超の下げ幅となったが、売り一服後は再び下落へ転じることなくマイナス圏での横ばいが続いた。この後の海外時間では、東京時間で一時加速したリスク警戒の動きが再び意識されることになるのか、まずは欧州勢の動きを見極めたい。トランプ米大統領は昨日25日に、デジタル課税を実施する国に対して追加関税を課す可能性があることを警告しており、EU諸国が制裁の対象となる可能性が浮上している。新たな関連報道が伝わった場合はリスク回避の動きが生じる可能性があるため、ユーロの動向に注意したい。
日本時間21時30分に、米国の7月耐久財受注が発表される。耐久財受注は、自動車・家具・航空機など耐久年数が3年以上の消費財の新規受注を集計した指標。指標は出荷・在庫・新規受注・受注残高の項目で構成されており、月毎の変動が大きい航空機を除いたコア耐久財受注も同時に発表される。市場予想は-4.0%。コア耐久財受注は0.2%。前月から小幅に改善する見込み。前回6月は、コア耐久財受注が前月比で減速し、企業が設備投資に対して依然慎重な姿勢を維持していることが示唆された。トランプ米大統領が関税についての方針を二転三転させていることも企業の先行き不透明感を強めており、今後の設備投資の計画を立てにくい状況が続いている。7月はトランプ米大統領の大規模な減税法案が可決されたことや、主要国との関税協議で合意に至ったことなどから、不透明感がやや払拭された可能性が考えられる。市場予想よりも強い結果は米ドル買い、弱い結果は米ドル売りの材料と判断されるため、指標発表後の米ドルの値動きに注意したい。
日本時間23時00分に、米国の8月消費者信頼感指数が発表される。米民間調査会社のコンファレンスボードが発表する消費者信頼感指数は、米国の5,000世帯の消費者を対象にアンケート調査を実施し、消費者マインドを調査した指標。現況と6ヵ月後の景況感について調査され、同種の指標であるミシガン大消費者信頼感指数よりも調査範囲が広いため、市場注目度が高い。今回の市場予想は96.2。前月の97.2を下回り、2ヵ月ぶりに減速する見込み。前回7月の結果は、相互関税の猶予期限を前に日本や欧州との関税協議が合意に達したことや、トランプ米大統領の大型減税・歳出法案が可決されたことなどから、不確実性がやや後退し消費者マインドがわずかに改善したことが予想される。しかし、労働市場が悪化傾向にあることが依然として消費者の懸念材料となっており、8月初旬に発表された米雇用統計が下振れたことも今回の結果の重しとなる可能性が高い。現状は米国の利下げ期待再燃で米ドル売りに振れやすい地合いであるため、結果が予想を下回った場合の米ドル売りリスクには特に警戒しておきたい。
日本時間27時30分に、カナダ中央銀行(BOC)のマックレム総裁がメキシコ中央銀行創立100周年記念イベントに出席する。金融政策に関する発言が出た場合、カナダドルの値動きに影響を与える可能性が高いことに注意したい。BOCは、先月30日に開かれた会合で政策金利を現行の2.75%に据え置くことを決定。3会合連続での据え置き決定の理由には、米関税による不確実性が依然として高い状況にあることや、カナダ経済が一定の底堅さを維持していることなどが挙げられた。会合後の記者会見でマックレム総裁は「インフレ率は目標の2%水準に近づいているが、基調的なインフレ圧力の兆候を確認している」と発言。カナダ経済に一定の回復力があることから不確実性を見極める姿勢を維持しており、インフレ圧力が抑制されていることが確認されれば追加利下げに踏み切る可能性があるとの見解を示した。次回のBOC会合は9月17日に開催される。マックレム総裁が今後の利下げ見通しに言及する場面が見られるか確認したい。
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