2024.08.20
2024.08.20
当サイトが実施した、2024年7月1日~7月31日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、FX通貨ペアでは、クロス円通貨ペアのボラティリティが拡大し、クロス円が大きく変動したタイミングで、主要株価指数も連動して大きく動いたことが分かった。
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象とした今回の調査結果では、日本円を主体として大きなボラティリティが観測されました。7月の為替市場では、日銀による為替介入や利上げが実施され、円高方向への取引が顕著に増加しました。また、多くのアナリストは、低金利の日本円を借りてその他の金融商品に投資するキャリートレードの巻き戻しも、円高の要因になったと分析しています。
上記は、ドル円(USD / JPY)の6月・7月の1カ月間のボラティリティ推移を比較したグラフです。7月のドル円は6月と比べてボラティリティが大きく拡大しており、1日当たりの平均ボラティリティは、6月の111.4pipsに対して7月は168.5pipsと、57.1pips増加しました。1日当たりの最大ボラティリティに関しては、6月の195.5pipsに対して7月は11日の434.2pipsが最大となり、238.7pips増加しています。7月で最もボラティリティが高かった11日には日銀による約5兆5348億円の為替介入が行われていたことが発表されました。これを受けてドル円相場は急落し、日足レベルでは4月以降見られていなかった規模の大陰線で引けています。
上記は、6月・7月を対象にしたドル円のボラティリティと取引量の推移を示したグラフです。7月のドル円は、取引量とボラティリティが相関する形で推移していました。ただし、ボラティリティは一過性の増加が多かった中で、取引量に関しては漸進的に月末にかけて増加傾向が見られました。取引量の増加が月末にかけて見られていたことから、7月31日の日銀金融政策決定会合にて追加利上げが決定されることを市場が織り込み、円買い方向に取引が増えていった可能性が高いと考えられます。現在も相対的に他の通貨より低金利の日本円は、利上げ時期がある程度明確になれば、今後も円高方向へ一貫した値動きを示す可能性があります。
ユーロドル(EUR / USD)の6月・7月の1カ月間のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、7月のユーロドルは6月と比べて全体的にボラティリティが低下したことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティでは、6月の59.2pipsに対して7月は44.3pipsと、20.8pips低下しました。1日当たりの最大ボラティリティに関しては、6月の118.9pipsに対して7月は3日の80.5pipsが最大となり、38.4pips低下しています。ボラティリティが高かったクロス円通貨ペアとは相対的に、利下げに対して慎重な姿勢である通貨で構成されているユーロドルは値動きの少ない1カ月間となりました。また、ユーロドルのボラティリティは拡大せず、ドル円が月末にかけて大きくボラティリティが拡大していたことから、ドル円のレートの変動は米ドルより日本円主体で動いていた可能性が高いと考えられます。
人気のCFD銘柄であるゴールド(XAU / USD)、日経平均株価(JP225)、ダウ平均株価(US30)、WTI原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査では、主要株価指数のボラティリティの増加が顕著に現れていました。ボラティリティ増加の主な要因として、半導体株の下落が挙げられます。また、クロス円が大きく変動したタイミングでは、主要株価指数も連動して大きく動いていました。この現象から、円キャリートレードの巻き戻しがボラティリティと取引量の変動に少なからず影響を与えていたと考えられます。
日経平均株価(JP225)の6月・7月の1カ月間のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、7月の日経平均株価は6月と比べてボラティリティが大きく増加したことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、6月の560pipsに対して7月は747pipsと、187pips増加しました。1日当たりの最大ボラティリティに関しては、6月の913pipsに対して7月は24日の1547pipsが最大となり、634pips増加しています。24日の日経平均株価は、6日間の続落となり急激な円高が加速したことや、前日の米国の大型株の大きな下落など様々な要因に引っ張られる形で下げ相場となりました。
上記は、7月を対象にした日経平均株価のボラティリティと取引量の推移を示したグラフです。7月の日経平均株価は、ボラティリティと相関する形で取引量が推移していました。7月で1日当たりのボラティリティが最も高かったのは24日ですが、取引量は25日に7月で最大値を記録しました。同日の日経平均株価の相場を振り返ると、6日間の続落から一旦の反発を見せていたため、決済売り・新規売り(空売り)だけでなく、反発を見ての決済買いもあったと考えられます。また、半導体株を中心とした米国の株式市場の影響を受け、日経平均株価が過剰に下げているといった見方もあり、長期的な押し目として買いが入りやすかったことが、取引量の増加につながった可能性もあります。
上記は、WTI原油(WTIOIL)の6月・7月の1カ月間のボラティリティ推移を比較したグラフです。7月のWTI原油は全体的なボラティリティが6月と比べて若干増加していました。1日当たりの平均ボラティリティは、6月の158pipsに対して7月は176pipsと、18pips増加しました。1日当たりの最大ボラティリティに関しては、6月の355pipsに対して7月は31日の346pipsが最大となり、9pips低下しています。31日は直近3日分の下落幅を1日で回復する力強い反発が見られました。WTI原油は昨年9月から日足レベルではボラティリティが縮小する傾向が今日まで続いています。テクニカル分析上では三角持ち合いを形成しており、方向性が定まったタイミングでは強いボラティリティを伴うトレンドが発生しやすい状況にあります。
2024年7月の人気銘柄のボラティリティと取引量の推移から、クロス円通貨ペアで特に大きなボラティリティが観測されました。7月の市場の主な注目材料は、為替介入や利上げなどの日銀の動向であり、11日・12日の為替介入、31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ決定により、いずれも円買い方向に取引が増加しました。また、利上げに際して日本円のキャリートレードの巻き戻しが行われたと考えられ、キャリートレードの対象銘柄となっていたと考えられる市場にもボラティリティや取引量の拡大が確認されています。8月の相場展開では、クロス円通貨ペアや主要株価指数が反発する中で、これらの動きが戻り高値として意識され、再びレートが下落に転じるかどうかを注視する必要があります。
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