2024.01.16
2024.01.19
当サイトが実施した、2023年12月1日~12月31日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、クロス円とゴールドのボラティリティが先月と比較して大きく増加し、ゴールドは急上昇により、史上最高値を更新したことが分かった。
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象にした今回の調査結果では、クロス円通貨ペアが先月比で顕著にボラティリティを増加させていたことが確認できました。クロス円通貨ペアは取引量を伴ってボラティリティが増加していたことから、12月の相場は特定の要因が意識され、大きく動く展開となったと推測されます。一方、ドルストレートの通貨ペアは、ボラティリティと取引量が共に先月に比べて低く、変化の少ない一ヶ月間となりました。
11月・12月のドル円(USD / JPY)のボラティリティ推移を比較したグラフから、12月のドル円は11月と比べてボラティリティに恵まれた1カ月間だったことが確認できました。12月の1日当たりの平均ボラティリティは169.4pipsで、11月の114.3pipsに比べて55.1pips増加しました。また、12月の1日当たりの最大ボラティリティは6日に記録した572.5pipsで、11月の188.9pipsに比べて383.6pips増加しています。6日は、日本の10年債利回りの上昇と日経平均株価の下落により、価格が円高・ドル安方向へ進むとともにボラティリティが大きく拡大しました。日銀によるゼロ金利政策の解除に対する警戒が高まっていたことや、同日午前に行われた参議院財政金融委員会にて植田総裁が金利変更を示唆したことも大きな材料となった可能性が高いでしょう。
上記は、ユーロドル(EUR / USD)の11月・12月のボラティリティ推移を比較したグラフです。12月のユーロドルは、11月と比べてボラティリティの変化に乏しい1ヶ月間でした。1日当たりの平均ボラティリティでは、11月の70.9pipsに対して、12月は74.1pipsと3.2pipsの小幅な増加となりました。さらに1日当たりの最大ボラティリティに関しては、11月の195.8pipsに対して、12月は139.4pipsと、56.4pipsも減少しています。一般的にドル円とユーロドルは逆相関が起こりやすいとされますが、ドル円が先月比で大きくボラティリティを増加させた一方で、ユーロドルの値動きの規模感はほとんど変化していませんでした。
上記は、11月・12月を対象にしたユーロドル(EUR / USD)のボラティリティと取引量の推移を示したグラフです。12月のユーロドルはおおむね取引量はボラティリティと相関する形で推移していましたが、ボラティリティは中旬に最大値を記録した一方で、取引量は月末に最大値を記録しました。12月最大のボラティリティとなった14日は、欧州中央銀行(ECB)の金利変動の期待によってユーロドル相場が一時押し上げられました。しかし、結果として金利変動は行われず、上昇した分の売り戻しが多かったため、取引量の増加にはつながりませんでした。
人気のCFD銘柄であるゴールド(XAU / USD)、日経平均株価(JP225)、ダウ平均株価(US30)、原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査では、ゴールドと日経平均株価のボラティリティが先月比で大きく上昇したことが確認できました。特にゴールドは、史上最高値の更新に伴い急騰・急落する展開となり、1,200pipsを超える高いボラティリティを記録しています。一方で、WTI原油やダウ平均株価はボラティリティが若干低下しており、CFD銘柄全体での明確な傾向は見られませんでした。
11月・12月のゴールド(XAU / USD)のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、12月のゴールドはボラティリティに恵まれた1カ月だったことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、11月の203.9pipsに対して12月は306.7pipsと、102.8pips増加しました。1日当たりの最大ボラティリティは、11月の313.4pipsに対して12月は4日の1244.8pipsが最大で、931.4pipsも増加しています。4日はゴールドは力強い上昇を見せ、史上最高値を大きく更新した日付です。しかし、その後月末にかけてボラティリティは先月と同じ水準まで段階的に減少しています。最高値を更新したことで強気な相場展開を考えるトレーダーと、高値がロングポジション決済の起点となり中期的な下落相場へと転じると考えるトレーダーが混在し、方向感に迷いが生じていた可能性が示唆されます。
上記は、ダウ平均株価(US30)の11月と12月で1カ月間のボラティリティ推移を比較したグラフです。12月のダウ平均株価は13日に史上最高値を記録したにも関わらず、11月と比べてボラティリティに大きな変化は見られませんでした。1日当たりの平均ボラティリティでは、11月の290.2pipsに対して、12月は284.1pipsと先月比で6.1pips低下しています。また、1日当たりの最大ボラティリティは、11月の675pipsに対して12月は20日の619.4pipsと、55.6pips低下しました。
上記は、11月・12月のダウ平均株価のボラティリティと取引量の推移を示したグラフです。12月のダウ平均株価は、ボラティリティに対して取引量の変化が乏しい1カ月間となりました。20日はダウ平均株価が大幅下落し、12月最大のボラティリティを記録した日付です。しかし、下降トレンドへの転換が意識されたため、新規のショートが追随されるような展開とはならず、取引量の増加は見られませんでした。
12月のボラティリティ推移から、FX通貨ペアでは特にクロス円のボラティリティが大きく増加していたことが確認できました。この傾向は2023年後半に何度も見られ、市場参加者に円が大きな注目を集めていることが分かります。CFD銘柄に関しては、ゴールドが続伸を続け史上最高値を更新し、非常に高いボラティリティを記録しました。クロス円通貨ペア、ゴールド共に過去のレートに比べて重要な高値圏にありますが、2024年以降も高いボラティリティが引き継がれ一段上の展開を見せるのか、一転して下降トレンドに転ずるのかに注目です。
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