2023.10.17
2023.11.24
当サイトが実施した、2023年9月1日~9月30日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、人気銘柄のボラティリティは全体的に低下が見られたが、WTI原油はボラティリティが拡大しており、エネルギーセクターへの市場の注目度が高いことが分かった。
人気通貨ペアであるドル円(USD / JPY)、ユーロドル(EUR / USD)、ユーロ円(EUR / JPY)、ポンド円(GBP / JPY)を対象にした今回の調査結果では、9月のボラティリティは全体的に縮小傾向だったことが確認されました。米国のファンダメンタルズ要因により米ドルが上昇したものの、ボラティリティの拡大は限定的です。また、イングランド銀行の金利の据え置き発表を受けて、ポンドは下落し、一時的にボラティリティが拡大しました。
上記グラフは、8月・9月のドル円(USD / JPY)のボラティリティの推移を示しています。9月のドル円ボラティリティは、8月に比べて全体的に縮小したことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、8月の110.4pipsから9月は85.7pipsになり、24.7pipsの縮小となりました。一方で、1日当たりの最大ボラティリティは、8月の182.5pipsから9月は185pipsと若干増加しています。1日当たりの最大ボラティリティを記録したのは、ISM製造業PMIおよび非農業部門雇用者数が発表された9月1日です。9月のISM製造業PMIは、2023年2月以来の高水準となる56.1を記録し、市場予想の53.0を上回りました。さらに、非農業部門雇用者数は市場予想の22.5万人を大きく上回る42.8万人でした。これらの要因が米ドル高・円安を後押しし、ボラティリティの増加に寄与したと考えられます。
8月・9月のドル円(USD / JPY)のボラティリティと取引量の推移を示す上記グラフから、大まかにはボラティリティと取引量が一致していることが確認できます。ただし、9月の最大のボラティリティを記録した日付と、最大取引量を記録した日付は異なっています。取引量が最大となったのは9月11日で、週明けの米ドル売りの急増によって前週末のレートから大きく開くギャップスタートとなりました。
上記は、8月・9月のポンド円(GBP / JPY)のボラティリティ推移を比較したグラフです。ポンド円は8月と比べて9月のボラティリティが若干減少したことが確認できました。1日当たりの平均ボラティリティは、8月の137.1pipsから9月は117.4pipsと19.7pips減少しました。1日当たりの最大ボラティリティは、8月の235.8pipsに対し、9月は21日の232.8pipsが最大です。この日はイングランド銀行の金利決定が発表され、市場予想の金利引き上げに反して、2021年11月以来となる金利据え置きとなりました。この発表は、インフレ抑制への期待が一時的に後退したことを示すものであるため、ポンド売りが進み、ボラティリティが拡大しました。
人気のCFD銘柄であるゴールド(XAU / USD)、日経平均株価(JP225)、ダウ平均株価(US30)、原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査では、8月と比較して多くの銘柄でボラティリティが低下していることが確認されました。一方で、例外としてWTI原油に関しては大きなボラティリティの増加が見られました。ボラティリティ拡大の背景には、ファンダメンタルズの変動やウクライナ情勢の不透明さなどによる、エネルギー市場の不確実性が影響していると考えられます。
8月・9月のゴールド(XAU / USD)のボラティリティ推移を示す上記グラフから、9月は8月と比べて1日当たりの最大ボラティリティが大きく拡大していることが分かります。8月の最大ボラティリティ246.8pipsに対して9月は335.4pipsを記録し、90pipsほど拡大しました。ボラティリティが大きく拡大した月末は、ゴールド価格が大きく下落し、2023年3月中旬以降で初めて1,900ドルを下回りました。米国10年債の利回り上昇に伴う米ドルの強化が、ゴールドの下落およびボラティリティの増加の背後にあると思われます。さらに、価格が1,900ドルの節目を下回ったことにより、テクニカル要因の売り圧力が増加したと推測されます。なお、1日の平均スプレッドは、8月の161.1pipsから9月は158.1pipsと僅かに縮小していたため、月末以外のボラティリティは低迷していたと言えるでしょう。
上記グラフは、8月・9月のWTI原油(WTIOIL)のボラティリティ推移を示しています。9月のWTI原油は、人気CFD銘柄で唯一、8月と比べボラティリティが増加した銘柄です。1日当たりの平均ボラティリティは、8月の195pipsから9月は213pipsと18pips増加しました。1日当たりの最大ボラティリティに関しても、8月の326pipsに対して9月は27日の374pipsが最大です。9月27日はEIA週間石油在庫の発表があり、予想を大きく下回る減少幅でした。この結果によるWTI原油の供給逼迫の懸念や、ウクライナ情勢の不透明化により、価格が一時急騰したことがボラティリティを高めた要因だったと言えるでしょう。ただし翌28日には、目立ったファンダメンタルズ要因は無かったものの、市場参加者の心理や投機筋の動きによりWTI原油の価格が急落に転じました。
9月の人気銘柄のボラティリティ動向を観察すると、8月と比較して多くの銘柄のボラティリティ低下が確認されました。特にドル円は、円安が進行しているのにも関わらずボラティリティが低迷しています。この背景には、市場参加者の日銀の為替介入の可能性への警戒や、米国の利上げによる好調さが明確であることなどがあると考えられます。また、CFD銘柄に関しても、ボラティリティの全体的な低迷が確認されました。ただし、WTI原油に関してはボラティリティが拡大しており、エネルギーセクターへの市場の注目度が高いことが伺える結果となっています。
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