2023.06.16
2023.11.24
当サイトが実施した、2023年5月1日~5月31日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、FX通貨ペアとCFD銘柄のボラティリティが拡大する場面はあったが、4月に比べて5月は方向性の乏しい相場展開となっていることが分かった。
人気通貨ペアであるドル円(USD/JPY)、ユーロドル(EUR/USD)、ユーロ円(EUR/JPY)、ポンド円(GBP/JPY)を対象にした今回の調査結果では、5月は全体としてボラティリティに恵まれない月間だったことがわかりました。4月にボラティリティが増加していたクロス円通貨ペアに関しても、5月はボラティリティの縮小を見せています。また、ファンダメンタルズ要因によって一時的にボラティリティが拡大しましたが、ボラティリティが持続する展開にはなりませんでした。
ユーロドル(EUR/USD)の4月と5月のボラティリティ推移を比較した上記のグラフから、5月のユーロドルは4月に比べてボラティリティが縮小したことが確認できました。1日当たりの平均ボラティリティは4月の82.3pipsに対して5月は68.2pipsとなり、ボラティリティが恵まれなかった4月よりもさらに縮小しています。最大ボラティリティに関しても、4月の130.2pipsに対して5月4日の105.5pipsが最大であり、先月比で縮小しています。5月4日はECB金利や米国の金利発表、FOMCなどの重要なファンダメンタルズが発表された日付で、ボラティリティが一時的な拡大を見せるものの、月末まで活気づくことはありませんでした。
上記のグラフは、ポンド円(GBP/JPY)の4月と5月のボラティリティ推移を比較したものです。5月のポンド円は4月のように月末の急激なボラティリティの拡大が無かったことで、平均ボラティリティが縮小しています。1日当たりの最大ボラティリティは、4月の475.0pipsに対して、5月は196.1pipsに留まりました。なおポンド円は、ファンダメンタルズの要因によってボラティリティが顕著に拡大することが無く、月間を通して低く推移していました。
上記のグラフは、4・5月を対象にしたポンド円(GBP/JPY)の取引量とボラティリティの推移を示しています。5月のポンド円は、ボラティリティと取引量がある程度連動しながらも、取引量がボラティリティよりも上回っていることが確認できます。テクニカル的には、月初の高値を超える展開が観察されており、迷いながらも買い方向に相場が傾き上昇する展開がみられました。
人気のCFD銘柄であるゴールド(XAU/USD)、日経平均株価(JP225)、ダウ平均株価(US30)、原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査結果では、5月は各銘柄でボラティリティが拡大していたことが確認できました。1日当たりの平均ボラティリティの増加は、これらの銘柄が月初のファンダメンタルズ要因によって大きく相場が動いたことに起因しています。ただし、中旬以降は多くの銘柄がボラティリティの低下を示し、長期間にわたって高いボラティリティを維持することはありませんでした。
4月・5月のゴールド(XAU/USD)のボラティリティ推移を比較した上記のグラフから、5月のゴールドはスプレッドが4月に比べて若干縮小したことが確認されました。1日当たりの平均スプレッドは、4月の294.5pipsに対して5月は270.3pipsとなり、24.2pipsほど縮小しました。また、4月には中旬にボラティリティの増加が見られましたが、5月のボラティリティ推移では寄り付きでピークを迎えた後、中旬以降はほぼ同水準で推移しています。中旬には取引量が増えたものの、市場参加者の心理は方向感に一貫性を欠いており、ボラティリティの拡大は見られませんでした。5月の最大ボラティリティを記録したのは5日の534.5pipsで、4月の最大とほぼ同じ水準です。5月4日と5日に米国と欧州の重要なファンダメンタルズが発表されたことが、ボラティリティが増加した要因と考えられます。
ダウ平均株価(US30)の4月と5月のボラティリティ推移を示す上記グラフから、5月のボラティリティは4月よりも拡大していることが確認できました。1日当たりの平均ボラティリティは、4月の316.6pipsから5月は384.8pipsとなり、68.2pips増加しています。また、1日当たりの最大ボラティリティに関しても5月2日の655.8pipsが最大値であり、4月の553.5pipsから大きく上昇しています。5月1日から3日は米国関連のファンダメンタルズが連日発表された日程であり、この期間のボラティリティが特に大きくなっています。
上記グラフは4月・5月のダウ平均株価(US30)の取引量とボラティリティの推移を示しています。5月は取引量とボラティリティの推移に相関が見られ、引けの相場では急激にボラティリティと取引量が共に低下しています。寄り付きから下落・反発でジリジリと下がる弱気相場から、安値を決める展開がみられたことで小休止となりました。
5月のボラティリティと取引量の推移を見ると、FX通貨ペアとCFD銘柄で、月初に発表されたファンダメンタルズ要因の影響を受けてボラティリティが拡大する点が共通していました。FX通貨ペアに関しては全体的に見れば先月と比べてボラティリティが低下した一方で、CFD銘柄では平均ボラティリティおよび最大取引量が4月に比べて増加しました。ただし、月初のボラティリティは中旬には縮小し、強力なトレンドにはなることはありませんでした。ボラティリティの観点から言えば、5月は方向性の乏しい相場展開であったと言えます。
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