2023.05.11
2023.11.24
当サイトが実施した、2023年4月1日~4月30日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、クロス円通貨ペアのボラティリティが拡大する場面はあったが、市場全体が3月に比べて相対的にボラティリティが低迷していることが分かった。
人気通貨ペアであるドル円(USD/JPY)、ユーロドル(EUR/USD)、ユーロ円(EUR/JPY)、ポンド円(GBP/JPY)を対象にした今回の調査結果では、クロス円通貨ペアの活発な値動きが目立ちました。植田日銀総裁が28日に初めて行った政策決定が大きく注目され、同日には円絡みの通貨ペアが軒並み月間最大のボラティリティを記録しています。
ドル円(USD/JPY)の3月と4月のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、4月は3月に比べて全体的なボラティリティの鈍化傾向が見られました。1日当たりの平均ボラティリティは4月が127.7pipsと、3月の165.1pipsに比べ約37pips減少しています。ただし、4月のドル円は28日に323.3pipsという最大値を記録し、3月の最大ボラティリティ289.9pipsと比べて約33pips上昇しました。同日は日銀総裁による会見および金利決定が行われ、日銀の新リーダーである植田総裁の政策は「大規模な金融緩和の維持」に決定しました。日本市場の流動性を高め経済活動を促進するという、これまでの金融政策の継続が決定し、円安が進む結果となっています。
ユーロドル(EUR/USD)の3月と4月のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、ドル円同様に全体的なボラティリティが3月より低く、落ち着いた動きであったことが確認できます。4月の1日当たりの平均ボラティリティは82.3pipsで、3月の96.6pipsに比べて約14pips減少しました。また、1日当たりの最大ボラティリティに関しても4月は130.2pipsと、3月の243.8pipsと比べて約113pips減少しています。4月のユーロドルのボラティリティが最大となった日は26日で、この日はEIA週間原油在庫の発表がありました。なお、クロス円通貨ペアが急拡大を見せた28日の日銀政策決定ですが、ユーロドルのボラティリティの変化はあまりありませんでした。
人気のCFD銘柄であるゴールド(XAU/USD)、日経平均株価(JP225)、ダウ平均株価(US30)、原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査結果では、日本円と関連性の高い日経平均株価のボラティリティの変動が顕著でした。これは、植田日銀総裁が28日に初めて行った政策決定に影響を受けたと考えられます。しかし、他の銘柄においては、全体的にボラティリティの低下傾向が見られました。
上記グラフは、日経平均株価(JP225)の3月と4月のボラティリティ推移です。4月の日経平均株価は全体的にボラティリティが穏やかに推移し、3月と比べて低迷していたことが確認できました。4月の1日当たりの平均ボラティリティは331pipsで、3月の469pipsに比べて約138pips減少しています。1日当たりの最大ボラティリティを記録したのは植田日銀総裁による会見・金利決定があった4月28日で、日経平均株価の市場参加者にとって4月で最も関心の高いトピックだったことがわかります。ただし、同日に記録したボラティリティは602pipsで、3月の最大を記録した米国小売売上高の発表後の1053pipsに比べて約451pips減少しています。
ダウ平均株価(US30)の3月と4月のボラティリティ推移を比較した上記グラフから、ダウ平均株価は日経平均株価よりも顕著にボラティリティが低迷した銘柄であったことが確認できます。1日当たりの平均ボラティリティは、3月の535.6pipsに対して4月は316.6pipsと、約219pipsもの減少を見せました。1日当たりの最大ボラティリティは27日に記録した553.5pipsと、3月の平均ボラティリティより少し上回る程度にとどまっています。
上記は3月・4月を対象にしたダウ平均株価(US30)の取引量とボラティリティ推移を示したグラフです。取引量の推移とボラティリティの推移は、おおむね相関しているものの若干のズレが生じていました。例えば、1日当たりの最大ボラティリティを記録した4月27日ですが、取引量の最大値はそれよりも先につけています。これは、25日・26日に立て続けに発表された米国の経済指標が、取引量増加の要因となったと考えられます。
4月のボラティリティと取引量の推移を見ると、市場全体が3月に比べて相対的にボラティリティが低迷する傾向が見られました。ただし、クロス円および日経平均株価に関しては、日銀政策決定の影響により、引けの相場で大きな取引量を伴ってボラティリティが拡大する現象が確認できました。ボラティリティの縮小により新たなトレンドが生まれる可能性があるため、5月以降の変動を注意深く観察する必要がありそうです。
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2024.10.02
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