2023.02.10
2023.11.24
当サイトが実施した、2023年1月1日~1月31日を対象とした、「重要イベント」と「人気銘柄のボラティリティ」にみる市場動向の集計結果により、円絡みの通貨ペアや人気CFD銘柄では、先月と同様に日銀の金融緩和が為替市場参加者にとって注目のトピックとなっていることが分かった。
人気通貨ペア ドル円(USD/JPY)、ユーロドル(EUR/USD)、ユーロ円(EUR/JPY)、ポンド円(GBP/JPY)を対象にした今回の調査結果では、先月と同様に日銀の金融緩和が為替市場参加者にとって注目のトピックであったことが確認できました。1月18日の日銀記者会見が行われた日は、円絡みの通貨ペアが当月最大のボラティリティを記録しています。
上記は、2022年12月・2023年1月のドル円(USD/JPY)のボラティリティ推移です。1月のドル円は日銀記者会見があった18日に、当月最大のボラティリティを記録しました。先月の日銀金融緩和を受け、日銀の動向が強く意識されていたと言えるでしょう。また、1月で2番目に高いボラティリティを記録した12日は、主なファンダメンタルズ要因としてEIA週間石油在庫の発表がありました。この日は、ドルストレートの通貨ペアが、為替市場全体としてボラティリティに恵まれる結果となっています。なお、1月のドル円は、全体のボラティリティに関しては、12月と比べて低下傾向でした。先月は20日の日銀金融緩和修正がサプライズとなり大きくボラティリティが上昇しましたが、1月18日の日銀記者会見でのボラティリティの変動は限定的でした。
上記は、2022年12月と2023年1月のユーロドル(EUR/USD)のボラティリティ推移を比較したものです。1月のユーロドルの最大ボラティリティを記録したのは3日の163.6pipsで、12月の145.6pipsと比べ約20pips近く増加しました。一方、12月の1日当たりの平均ボラティリティ88.9pipsに対して、1月の平均ボラティリティは88.4pipsでした。また、ボラティリティの推移では、引けより寄り付きに掛けて、1月のユーロドルのボラティリティは高まっていたことが確認できます。18日の日銀会見・金利決定のファンダメンタルズが発表された日は、ユーロドルのボラティリティも上昇にも影響を与えました。
人気CFD銘柄のゴールド(XAU/USD)、日経225(JP225)、ダウ平均株価(US30)、原油(WTIOIL)を対象とした今回の調査では、為替と同様の18日に1月の最大ボラティリティを記録する銘柄が多く見られました。ただしWTI原油に関しては、年初の相場が最も大きなボラティリティ推移を記録しています。CFD銘柄は為替市場と相対的に見て流動性が低く、年初の流動性が確保されづらい相場において、想定よりも大きく値が動いたと推測できます。
ゴールド(XAU/USD)の12月と1月のボラティリティ推移を比較すると、1月のゴールドは、12月と比べて若干のボラティリティ増加傾向が確認できました。12月は先月比で2倍近く平均ボラティリティが増加していましたので、さらにもう一伸びを見せた形です。1日当たりの平均ボラティリティは、12月の238.8pipsと比べて1月は248.4pipsと、10pipsほど増加しました。また、ゴールドが1月の最大ボラティリティを記録したのは円絡みの通貨ペアと同じく、日銀記者会見が行われた18日でした。日経平均株価(JP225)やダウ平均株価(US30)に関しても、同日に1月の最大ボラティリティを記録しています。最大ボラティリティに関しては12月と比べて少し下がったものの、寄り付きから力強くボラティリティを増加させる展開は12月と似通っていました。
上記は、2022年12月・2023年1月を対象にゴールド(XAU/USD)の取引量とボラティリティの推移を示したグラフです。1月のゴールドのボラティリティ推移と取引量は、12月と同じくほとんど相関して動いていることが、グラフの波形から読み取れました。ただ、取引量の増減のタイミングがわずかにズレることも時折確認できます。同現象が確認された部分の値動きを日足レベルで追ってみると、前日の陽線で上げた値幅を下髭もしくは陰線で実体を残して、一旦上昇幅を打ち消すような展開が見られました。前日の上昇幅を戻した後に決済売りがあり、その後の新規買いを巻き込む上昇相場となったことで、実際のボラティリティと取引量の誤差を生んだと考えられます。
上記は、2022年12月・2023年1月を対象にWTI原油(WTIOIL)の取引量とボラティリティの推移を示したグラフです。WTI原油は本調査の対象銘柄で唯一、1日当たりの最大ボラティリティを記録した日付が他の銘柄と異なりました。他のCFD銘柄が最大ボラティリティを記録したのは18日ですが、WTI原油が最大ボラティリティを記録したのは年初の2日です。同日は特にWTI原油と関連度の高いファンダメンタルズが発表されることはありませんでしたが、レート上では、前年の直近高値に達していたこと、前回同水準から日足レベルで大陰線を残したことなど、テクニカル要因によってボラティリティが拡大したと考えられます。
上記は、2022年12月・2023年1月を対象とした、WTI原油(WTIOIL)の取引量とボラティリティの推移を示したグラフです。先月同様に、取引量とボラティリティの推移はおおむね相関して動いているものの、最大ボラティリティと最大取引量を付けたタイミングは大きくズレていることが確認できました。考えられる要因として、WTI原油の月間最大ボラティリティを記録した日付は、2023年最初の相場であったことが挙げられます。年初は相場の流動性が低くなる傾向があるため、それによってボラティリティが高まったと考えられるでしょう。現に、寄り付きで大きく下げた値幅は、中旬頃には完全に打ち消すほど相場は上昇しています。
1月のボラティリティ推移と取引量の推移では、銘柄によってボラティリティに恵まれているか否かがはっきりと分かれた12月と比べて、共通の材料を意識して相場が変動している印象を受ける動きが見られました。先月の日銀金融緩和修正が相場を大きく動かしたことを受け、1月も引き続き日銀の動向へ注目したい市場参加者の心理を伺うことができます。しかし、世界的に見れば、終結していないウクライナ新興やアジア圏における核保有問題、COVIDに関わる各国の対応など様々な問題が存在します。突発的な状況変化が、相場へ大きな影響を与えるリスクにも警戒していく必要があるでしょう。
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